24から30まで結婚していた話をします。親父は、工務店を経営していて、長兄、次兄が跡を継いでいるんですが、私は事務仕事が性に合っていたので、資格を取って別の事務所に勤めておりました。
ある年、父の後輩にあたる人が大きな借金を作って、父の会社に転職してきたんです。その人の娘が元嫁で、初めてあったのは、20の時。土地柄、なかなか出会いのない私と、同じ年である彼女との結婚を周りはずいぶん願っていました。
実は元嫁には持病があり、働くことはおろか、治療しないと子供が望めない状態で、私との関係は遠慮がちだったんですよね。
でも、周りの後押しもあって、24の時に結婚。元嫁と結婚する時に「こんな私と結婚してくれてありがとう」「もし私と結婚生活が続けられないと思ったら、いつでもこれを出してください」と日付がない記入済みの離婚届を渡されてました。
その態度にほだされた訳じゃないですが、元嫁の体調を考えて家事の殆どもしたし、元嫁の病状に効く保険外の薬も積極的に使用しました。
その薬の効果もあってか、元嫁の体調は良くなり、ほとんど健常体と変わらないまでに回復しました。
そんな毎日が当たり前になった時に、酒に酔った元嫁が「父の借金で俺に売られたと」と泣き出したことがありました。
父とあなたがいなけりゃ、本当に好きな人と恋をしたかった、好きな人と結婚したかったと。それを聞いてスーッと冷めていく自分を感じてしまいました、
元嫁は、薬と酒のせいですぐに寝てしまったんですが、普段は私に対して感謝の言葉の胸の中では、「恋愛したかった」「自由に生きたかった」と思っていたんですね。それ以来、結婚生活が空しくなってしまい、離婚を考えるようになりました。
そんな時、元嫁の父が急死。その義父の葬式も終わって、落ち着いた頃に家を出て行きました。
「私と別れて、本当に好きな人と結婚して下さい」とのメモと元嫁が私に言った言葉の録音データ、貯金のほとんどを置き、離婚届を役所に出して、私は家を出て行きました。
今の私は東京に出てきております。資格と実務経験があったので、すぐに転職先は見つかり、仕事も順調に進んでいます。
あれから2年、元嫁や実家がどうしているかも、思わなくなりました。しかし、私はこんな冷たい人間だったのかと自己嫌悪を感じる毎日です。