夫の叔父が亡くなったときの話です。
通夜も葬式も終わり、皆で火葬場へ。火葬までに時間があるというので、待合室で軽食を食べながら、参列者がまったりし始めました。
私は当時生後六ヶ月の娘がおり、ベビーカーで大人しく寝ているのを起こさぬようにと、ちょっと騒がしい参列者の集団からは遠ざかっていました。
すると義母が大きな紙袋を持って来たんです。 「参列者の皆さんに家族で挨拶しにいくけど、赤ちゃん寝てるでしょ?」 「あなたは無理しなくても大丈夫よ。その代わり、これを持ってて?」
ふと中身を見ると、折り詰めのお菓子の箱が数個入っています。お菓子かぁとか思ってたら、お義母さんが私の起爆スイッチ入れる発言。
「あ、これお菓子で隠してるけど、一番そこに頂いたお香典が30万ほど入ってるから」「こういう火葬場とかって、窃盗とか置き引きとか多いから、気をつけてね」
はぁ?「いえいえいえいえ!」「無理ですよ!そんな大金!娘も居ますし!」「万一、盗られたら追いかけられません!」
慌てる私に、のん気なお義母さん…。「大丈夫♪その為にお菓子でカモフラージュしてるんだから」 そう言う問題じゃなくてぇ…。
仕方なく、私はベビーカーの下のかごに押し込み、番犬よろしく辺りを見回していました。 その時、夫は私と娘が心配で、挨拶回りをしながらも、ちらちらと私の方を見ていたようです。「なんか殺気立ってて、怖かった」そうです。 どうりで誰も話しかけて来ないと思いました。
火葬も無事終わり、紙袋を義母に返してやれやれと帰宅したら、夫の携帯に電話が。嫌な予感的中ですよ!
「お香典がなくなってる!」 義実家で義母と叔父嫁が大騒ぎしているそうです。
「だからあの時言ったじゃん!嫌だって…!」「どうすんの!私泥棒にされちゃう!」 夫相手に動揺が隠せない私。
金額の補償より、夫の親族に泥棒の濡れ衣を着させらちゃうと、私はちょっとパニックでした。取り敢えず、お義父さんがお金を出して補償してくださっんですが、結局、お金は出てきませんでした。
夫が冷静に「妻が断ったのに、押し付けたお袋が悪い。大体、いつ盗られたかも分かってないだろ?」そう弁護してくれました。 「それ以前に、本当に妻に渡した時にはお金はあったのかよ」
お義母さんが私に渡す前にお金を確認していなかった事と、私が袋から目を離してはいなかったという お義兄さんと夫、夫の祖母の証言もあり、私の無実は一応証明されました。
義兄さんには「近付く人を怪し気に睨んで威圧してた」とか言われてしまいましたが。ほっとした反面、何だか釈然としない気持ちでした。私もあの時、お金を確認しておけば良かったんでしょうか?そうしたら、盗まれた時間や場所が特定できたかもしれないのに。
とにかく、お金のやり取り(?)は懲り懲りです。
ちなみに夫の祖母(叔父の母)と叔父嫁は不仲。「きっと身内の犯行に違いない。本当は叔父嫁が盗んだのでは」と言ったらしく、それもなんだかなぁ。
私に対しては孫の母親として、凄く可愛がってくれてるんですが。色々二人の間にあったんだろうな…ぐらいに思って深入りは避けてます。