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修羅場のはなし

修羅場のはなしのまとめ

呪いのキーホルダー

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呪いのキーホルダー

「なぁ、呪いのキーホルダーってあるのか?」

ある日、大学で同じ専攻のAが俺に話しかけてきました。Aは一言で言うと、嫌なヤツです。ガタイが良く、小中高でこんなイジメをしてきたとか、喧嘩で負けたことがないとか、そんなことを自慢げに話す、頭の悪いヤツ。

そんなAにも弱点がありました。じつはAは情けない程の怖がりで、ちょっと変なことがあると、オカルト好きで変わった趣味を持つ俺にいつも相談しにきていたのです。もっとも、何か霊的なことがあったことなんてこれまでには一度もありませんでした。

「持っていると、数日後に死んでしまう、とかいう呪いがあるらしいんだ」

Aはそう言ってカバンの中から、変な形のキーホルダーを取り出しました。菱形の銅版の真ん中に十字架が掘られており、その上にバツ印が描かれている、はっきり言って安物の、どこにでもあるキーホルダーでした。

「昨日の夜、家でカバンの中見たら、コレが入ってたんだ。メモみたいのと一緒に」

そして、そのメモも俺に見せてきます。そこには「これは呪いのキーホルダー お前はもう助からない」と書かれていました。

「…なんか稚拙な文章だな。誰かのイタズラだろ。そんなの捨てちゃえばいいんだよ」

俺がそう言うと、Aはほっとしたような顔を見せました。そして、ブツブツと文句を言いながら、近くのゴミ箱にキーホルダーを捨て、Aは帰っていきました。

2日後、またAが俺のところに来ました。何かオドオドしています。

「なぁ、この前、捨てたよな? アレ、確かに捨てたよな…!?」

Aはそう言ってカバンからキーホルダーを取り出しました。

「あれが、またカバンに入ってたんだよ!」

確かにあのキーホルダーでした。あの時、Aは間違いなくゴミ箱にキーホルダーを捨てていました。それは俺も見ています。

Aはよっぽど怖かったのか「もう捨てないほうがいいのかな」などと言って、キーホルダーを腫れ物にでも触るように扱っていました。俺は調べてみるよと言い、騒ぐAを何とかなだめて、早々にその場を退散しました。

その翌日、俺が図書館で調べ物をしていると、Aがやってきました。なんだか元気が無さそうに見えます。

「ちょっと聞いてくれ…。もうヤバイかもしれん」

それからAはすっかりおびえ切った様子で語りはじめました。

「昨日の夜さ、寝る前にトイレに行こうとしたんだよ。おれ一人暮らしだろ? でもさ、普通にトイレのドア開けようとしたら、開かないんだよ。誰もいる訳ないのに、何故か、中からカギ掛かってて…・。そしたら、中から声が聞こえたんだよ。しかも1じゃない、何人かの声が。おーい、おーい、おーい…って呼んでる声が…」

Aは思い出したのか、震えていました。その後、家を飛び出したAは、朝までコンビニやらマンガ喫茶で時間潰して、部屋に戻ったそうです。俺は準備してきた護符をAに渡しました。

「これ、部屋に張っておけよ。お前のこと守ってくれるハズだから」

Aは護符を見て安心したようでした。そして、大事そうに抱えながら帰っていきました。翌日、またAが俺のところにきます。なんだかゲッソリしています。どうやら護符は効果がなかったようです。

「夜中、寝ていると、何か気配を感じてさ、ふと目が覚めたんだ。そしたらさ・・・部屋に何か居たんだよ。黒い影が部屋の隅に。で、また聞こえたんだ。呼ぶ声が。今度は俺の名前呼んでるんだよ。○○…○○…って」

Aは頭を抱えています。心底疲れ切っているようです。俺は少し考えてから「これは昨日のより強力なものだ」と別の護符を渡しました。今できることはこれくらいしかありません。Aはそれを受け取り、フラフラと帰っていきました。

Aの周りの怪現象はエスカレートし続けたそうです。聞こえてくる声はもっと直接的に「死ね…死ね…死ね…」と変わり、携帯の留守番電話にも入るようになりました。部屋で寝るのが怖くて、公園のベンチで寝ようとしているときにも声が聞こえてきた、とAは言っていました。

Aは1人でブツブツと独り言を言っていることが増えました。もともと近づく人は少なかっのですが、輪をかけてAに近づく人は減りました。気が狂いかけていたのかもしれません。
いや、もう狂っていたのかもしれません。しばらくして、Aは大学に来なくなりました。

それから数日後、Aが部屋で首を吊って死んでいるのが発見されました。今、俺の手元にはAが持っていたキーホルダーがあります。安物のキーホルダー。俺が買った、ただのキーホルダー。

Aのおかげで、これは呪いのキーホルダーになりました。ゴミ箱を漁ったり、合鍵作って部屋に忍び込んだり、録音した声を聞かせたりと、いろいろ努力した甲斐がありました。

これで、俺のコレクションはまた1つ増えました。『呪いのキーホルダー』ちゃんと曰く付きの、実際に持っていた人が死んでいる、ホンモノです。

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