姉についた家庭教師は、女のくせに自分のことを俺って呼ぶ人でした。服もサイズに合ってないダボダボなのを着ていて、ズボンもすそが余って引きずってる状態。アクセサリーとか時計とかも男物でゴツイものを身に着けていました。
でも、まぁテレビでも当時性同一性障害とか取り上げられたりしていたし、親も「人を見た目で判断してはいけない」と日ごろから俺らに言っていたので、スルーしていたのです。
それが間違いでした。ある日、姉の部屋から変な声が聞こえてきたのです。
「そこはブラジャー!だから、セックスだって!」
ん?俺は当時小学生なりに「なにこれヤバイ」と思ってリビングに直行。親に「姉の部屋からヘンなことが聞こえてくる」と報告しました。 姉の部屋からは、
「大きな声で言ってみろ」とか 「恥ずかしがるな、俺が手本を見せてやる。一緒に言えよ」とか相変わらず大声が聞こえてきます。
で、俺は親と一緒に姉の部屋に突撃したのです。机の上には教科書が広げられていて、普通に勉強している様子。でも姉は涙目。
そして、ノートに書かれていたのが、
「エッチなねえちゃん、暗闇でセックス連発」
「ふっくらブラジャー愛の痕」
エロ全開の化学記号の語呂合わせ。
親はビックリ。先生はちょっと挙動不審。よく見れば姉と先生の距離が近っ。
結局、親が派遣先に電話して翌日からは別の先生が来ることになりました。 ちなみに、「人を見かけで判断するな」の家訓は、あの日からあって無いようなものになりました。
しかしアレだなぁ。漫画やゲームでの一人称ボクとか俺とかの女キャラは可愛いのに、言っちゃ失礼なんだけど、実際の人物はバケモノなんだなぁ…。